座敷童子とロートレック

サントリー美術館の「ロートレック展 パリ、美しき時代を生きて」を観て気がついたこと。


ロートレックについては、夢二と同じくらい…門外漢です。彼の短い生涯についても、今回初めて学びました。
略歴についてはサントリーミュージアム公式ページ他にお任せするとして、またオルセー美術館オリゼー美術館と読み、独りウケしていたのはどうでもいいとして。
ジャポニズムが語られる時はゴッホとならんで必ず出てくる名前です。きれいなポストカードくらいなら私でも持っています。今回は、モノノ怪的には浮世絵繋がりということで足を運びました。ま、単なる気まぐれですが。


リトグラフ、油彩、スケッチ、それらの出版物と、展示は多岐にわたりとても見甲斐がありました。中でもひきつけられたのは連作「彼女たち」Ellesという版画集と、その関連の、世紀末パリ娼婦館を克明にとらえたセピア写真です。

正直、どちらも地味で、褒めちぎるキャプションほどには、最初は引きつけられないや…と感じました。(ブログ感想など読むとわかりますが、この作品は推薦度きわめて高いです)
そんな自分が食い入るように見ていたのは、セピア写真に写っていた、壁の小さな暖炉でした。「座敷童子」の世界っぽかったからです(バカ)


「座敷童子」の物語の背景設定も、かつての娼館でしたね。
写真は当然江戸時代より新しいので、史実鑑定には役立ちません(すなっつーの)。
しかし、物語の雰囲気はここから持ってきたに違いないだろうと思わせる空気感がありました。
ご存知「座敷童子」の世界が持つ感覚的「リアル」、映像を引き金に、見るものの精神をどんどんあちらへもってってしまうあの感覚です。
あるいは、そういう先入観でみたからでしょう。静止画像ですし。しかし見つめていればいるほど惹きこまれ、目まいがしてくるほどです。


『外国の写真も参考にしてたかもな〜〜』と、くらくらしながらも暢気に作品を眺め、
『そういやロートレックのサインって、「萬や」の屋号に似てるな〜〜』


……。


『や、やられた〜〜〜!!つか俺、気づくのおせすぎや!!!』
今更ものすご〜く悔しかったよ正直。ま、違うかも…。ですよ。ですが。


座敷童子解やってるときには、調べましたあの屋号も。
最初、あれを「瓦」と読んだんですね。そしたら「萬や」と公式にもある。
じゃ萬か。萬の略字として、どっかで見たような気もする、違和感もない。
ところが万や萬の略字でああゆうのは無かった。では瓦はというと、中の点がふたつになる。
ま略字とはちがうもんだし、看板文字とかはああゆうもんなんだろう。わからないまま放っておいたんですが。


宿の屋号がロートレックのサイン(イニシャルのH T Lを組み合わせた、片足上げた鳥居みたいな形)をもじったのだとすると、前編の冒頭で、屋号がドーンと大写しになったのも、合点がいく。物語の世界観として、しっかり辻褄が合う。
あれは、ロートレックと娼館との密接なつながりを暗示していたのだ。
ストーリーとの関連はないけども、「海坊主」が象徴主義の世界観を(歴史背景とは無関係に暗示として)持っているように、疎外された人々の世界を示していたのだろうと思う。
や、自分的に納得しただけなんですが。ロートレックと若旦那がダブったり…も全然しませんが、なかなか、胸に迫るものはあります。うん。


ロートレック展は3/9まで開催しています。興味のある方はぜひ。