短編小説:『凧』

もくじ

ひさしぶりに小説を書きました。 (3/27 後編アップ) 日記をさかのぼって読み進めて下さい。例によって、途中や後ろから読めてしまったら、ごめんなさい。前編 1(3/20付) 2(3/19付) 3(3/18付) 後編 4(3/17付) 5(3/16…

╋╋・‥… 1 …‥・╋╋ 石蹴りをする子どもが、ひとり、また一人と、日暮れの小道を辿って、家族の元へ帰ってゆく。 夕陽の斜めの光は、郷愁の念を起こさせる。仲間たちが遊びの輪を抜けていく中、いつの世でもまだ遊び足りないというような子が、ひとりふたりは…

╋╋・‥… 2 …‥・╋╋ 次の日も、薬売りは村にいた。 村人に薬をさばいて、話を聞いたり、二つの屋敷の前を、幾度か訪れたりした。 たしかに今は、あまり村人は寄りつかない処であるらしい。とはいえ、どちらの家もきちんと跡目を継いだ者がおり、村の要職に就い…

╋╋・‥… 3 …‥・╋╋ 「ある日、叔父の屋敷の屋根から、凧が上がっていました」 女は深くため息をつき、空を見上げた。高みを映した瞳が、水面のように揺れた。 「あれを見ると、あのときのなんとも言えない気持ちがありありと蘇りますわ」 「叔父さんが、凧を…

╋╋・‥… 4 …‥・╋╋ 「袖すりあうも他生の縁、と申します」 とある森の外れであった。小さな焚き火を囲み、数人の男たちが座っていた。仲間のひとりが足を痛めて、野宿することになったという。薬を商う帰りの一行で、それぞれに付近の町や村へ散らばったあと…

╋╋・‥… 5 …‥・╋╋ 「お前にも一族にも迷惑をかけた。あいつが…弟が死んで、目がさめた。悔やんでも悔やみ切れない」 男の両眼から涙があふれた。 「わしらがこんなふうだから、お前の縁談もついにまとまらなんだ。何にもまして辛かったが、それでもあいつが…

解説

本編をまだお読みでない方は、以下のリンクで一気に読めます ☆☆☆ 短編小説『凧』もくじページへ ☆☆☆ (4/6一部修正) ╋╋・‥… 長い解説 …‥・╋╋